渡邊 金一(わたなべ きんいち、渡辺金一、1924年〈大正13年〉12月14日 - 2011年〈平成23年〉2月6日)は、日本の歴史学者、経済学者。主専攻は東ローマ帝国史、古典古代史。一橋大学名誉教授。

経歴

出生から修学期

1924年(大正13年)12月14日、東京市で生まれた。1941年に東京高等師範学校附属中学校(現・筑波大学附属中学校・高等学校)四年次で修了。同年東京商科大学(現・一橋大学)予科に入学。1944年より海軍経理学校を経て、終戦時まで大日本帝国海軍少尉として任務にあたった。

戦後復学し、1948年、東京商科大学学部を首席で卒業。その後1953年まで一橋大学特別研究生。在学中は上原専禄、増田四郎両教授に師事した。

歴史学研究者として

1953年、一橋大学経済学部講師に就いた。1957年に同助教授、1965年に同教授昇格。東海大学に拠った尚樹啓太郎とともに日本における東ローマ帝国研究を第一世代として開拓した。1973年(昭和48年)には地理学の竹内啓一教授、ロシア文学の中村喜和教授らとともに「一橋大学地中海研究会」を創設。1988年(昭和63年)に定年退官、同大学名誉教授となった。その後も、1988年から2005年まで共立女子大学国際文化学部教授として教鞭をとった。

2011年2月6日、国分寺市の自宅で死去。日本基督教団国立教会で葬儀・告別式が行われた。

研究内容・業績

専門は西洋史で、古典古代史ならびに東ローマ帝国史を専門とした。

門下生

門下生には下記がいる。

著作

単著

  • 『ビザンツ社会経済史研究』岩波書店 1968
  • 『中世ローマ帝国:世界史を見直す』岩波書店(岩波新書) 1980
  • 『コンスタンティノープル千年:革命劇場』岩波書店(岩波新書) 1985

共編著

  • 『海上民』(イスラム世界の人びと 4) 家島彦一と共編、東洋経済新報社 1984

記念論集

  • 『ヨーロッパ[精神史の基本問題:下村寅太郎先生退官記念論文集』澤柳大五郎・関根正雄・村治能就・浅野順一・中野幸次・秀村欣二・兼岩正夫・清水富雄・渡辺金一・下村寅太郎・西沢龍生・藤田健治・永井博共編著、岩波書店 1966

翻訳書

  • 『古代社会経済史:古代農業事情』マックス・ウェーバー著、弓削達と共訳、東洋経済新報社 1959
  • 『ビザンツ帝国の都市と農村:4-12世紀』訳・編、創文社 1968
  • 『ビザンツ世界の思考構造:文学創造の根底にあるもの』H.G.ベック著、編訳、岩波書店 1978
  • 『ビザンツ帝国の都市と農村』ピグレフスカヤ他著、創文社(歴史学叢書) 1980
  • 『「法の精神」の祖型:ビザンツ文人のペレストロイカ建白書』(全2冊) ゲオルギオス・ゲミストス・プレトン著、一橋大学社会科学古典資料センター 1987
  • 『比較社会経済史:イスラム・ビザンツ・西ヨーロッパ』クロード・カーエン著、加藤博と共訳)創文社〈歴史学叢書〉、1988年

著作目録

  • 大月康弘「渡辺金一名誉教授著作目録」『一橋論叢』第100巻第6号、日本評論社、1988年12月、869-874頁、doi:10.15057/12616、ISSN 0018-2818。 

外部リンク

  • 一橋大学地中海研究会 - 渡辺らが創設した研究グループ
  • [橋問叢書 第16号]一橋のささやかな学問 : 一橋のビザンツ学の研究 / 渡邊金一|一橋の学問を考える会 - 1983年1月17日の講演

脚注

関連項目

  • 筑波大学附属中学校・高等学校の人物一覧

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