1957年のロードレース世界選手権は、FIMロードレース世界選手権の第9回大会である。5月にドイツのホッケンハイムで開幕し、イタリア・モンツァで開催された最終戦まで、全6戦で争われた。

シーズン概要

1957年は前年と同じく全6戦で争われたが、ドイツGPの舞台が初めてホッケンハイムリンクとなった。

前年同様に全クラスをイタリアのメーカーのマシンが制したが、MVアグスタが350cc以外の全クラスを支配した前年から勢力図は大きく変わった。500ccクラスではMVアグスタのマシンが信頼性に問題を抱えている間にジレラが巻き返し、250ccクラスではモンディアルが圧勝、125ccクラスでもモンディアルがMVアグスタとの接戦を制した。しかし、これら大小のイタリアンメーカーが群雄割拠した時代はこのシーズンで終わることになる。各クラスでタイトルを獲得したジレラ、モト・グッツィ、モンディアルがロードモデルの販売低下を理由にこのシーズンをもってグランプリから撤退することを決定したのである。MVアグスタも当初はこの3社に同調していたが後に撤回した。このためにMVアグスタには有力なライバルがいないという状況となり、特に大排気量クラスのワークスチームはMVアグスタのみという状態が翌年からしばらく続くことになった。

また、マシンのほぼ全体を覆うダスドビン・フェアリングはこの年限りで禁止となった。

500ccクラス

ディフェンディングチャンピオンのジョン・サーティースはMVアグスタの信頼性不足に悩まされ、オランダでの1勝しか挙げられなかった。一方、エースのジェフ・デュークがシーズン前のイモラでの怪我によってシーズン前半の出場が絶望的になったジレラだったが、残ったリベロ・リベラーティとボブ・マッキンタイヤが開幕2戦で1勝ずつ挙げてデュークの穴を埋めた。開幕戦のドイツではリベラーティがグランプリで初めて平均速度200km/h以上で優勝し、マン島50周年記念レースとなった第2戦ではマッキンタイヤが初の「オーバー・ザ・トン」(1周の平均速度が100mph以上)を記録している。ベルギーではリベラーティが1位でゴールしたものの、レース直前のマシン変更をオフィシャルに通知していなかったことが問題となり失格となってしまった。しかしリベラーティはその後の終盤2戦で勝利し、初のタイトルを獲得した。なお、シーズン終了後の裁定でベルギーの結果は再び覆され、リベラーティの勝利が認められている。

モト・グッツィのV8エンジンは新設計のクランクシャフトを得てようやく戦闘力と信頼性を獲得し始めた。ディッキー・デイルが開幕から2戦連続で4位入賞し、ベルギーではキース・キャンベルがバッテリーのトラブルで戦列を離れるまではラップレコードを更新しながらトップを快走した。しかしその一方で高速でのハンドリングの悪さは一向に改善されず、元350ccチャンピオンのビル・ロマスはダッチTTの予選でのクラッシュにより残りのレースの欠場を余儀なくされ、結局シーズン終了後のモト・グッツィの撤退とともにロマスも引退した。

また、MVアグスタはイタリアGPのプラクティスで新たな6気筒のプロトタイプを公開したが、このマシンはレースを走ることはなかった。

350ccクラス

開幕戦、第2戦をジレラのリベロ・リベラーティとボブ・マッキンタイヤが勝利したが、モト・グッツィのキース・キャンベルが第3戦から3連勝を飾り、オーストラリア人としては初めてのワールドチャンピオンとなった。モト・グッツィにとってはこのクラスで5年連続の、そして最後となるタイトルだった。

250ccクラス

前年のチャンピオンであるMVアグスタのカルロ・ウビアリが開幕戦を制したが、この年ウビアリが250ccクラスで獲得したポイントはこの1戦のみだった。代わってこのクラスを支配したのは新型の単気筒マシンを投入したモンディアルで、セシル・サンドフォードは2勝に留まったもののコンスタントに表彰台に登り、チームメイトのタルクィニオ・プロヴィーニとサミー・ミラーを押さえて1952年の125ccクラス以来となるタイトルを獲得した。世界選手権がスタートして以来イタリア人とドイツ人にタイトルを独占されてきた250ccクラスであったが、サンドフォードは初めてこのクラスを制したイギリス人となった。

125ccクラス

ディフェンディングチャンピオンのカルロ・ウビアリは開幕戦のドイツで優勝、続くマン島では2位と幸先の良いスタートを切った。ウビアリはマン島での2位で14レース連続表彰台という記録を作っていたが第3戦オランダの予選中にクラッシュ、連続表彰台が途切れてしまうとともに以後の3戦を欠場してタイトル争いからも脱落した。ウビアリの欠場中にランキングトップとなったのは、マン島から3連勝を飾ったモンディアルに乗るタルクィニオ・プロヴィーニだった。プロヴィーニは第5戦のアルスターGPで2位となり、最終戦を待たずしてタイトルを決めた。


グランプリ

最終成績

  • 全クラスで上位入賞した4戦分のポイントが有効とされた。
  • 凡例

500ccクラス順位

350ccクラス順位

250ccクラス順位


125ccクラス順位

脚注

参考文献

  • ジュリアン・ライダー / マーティン・レインズ『二輪グランプリ60年史』(2010年、スタジオ・タック・クリエイティブ)ISBN 978-4-88393-395-2
  • ケビン・キャメロン『THE GRAND PRIX MOTORCYCLE』(2010年、ウィック・ビジュアル・ビューロウ)ISBN 978-4-900843-57-8
  • マイケル・スコット『The 500cc World Champion』(2007年、ウィック・ビジュアル・ビューロウ)ISBN 978-4-900843-53-0



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